薬事法では「改善」を使うと違反になるのか

医薬品や医療機器、化粧品や健康器具などの開発をしているメーカーや、商品を取り扱っている商社では薬事法の規定が気になるでしょう。よく話題になるのが「改善」というキーワードです。宣伝広告をするときに「改善」という表現をすると薬事法違反になると言われることがよくありますが、本当に使ってはならない言葉なのでしょうか。

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薬事法で明示的に「改善」が禁止されているわけではない

薬事法では医薬品や医療機器、化粧品などの効果について、誇大広告がおこなわれないように規制をしています。医薬品は基本的に科学的根拠に基づいて効果があるかどうかを確認しているものです。例えば、高血圧治療薬は、高血圧の治療に使えると科学的に示されていることを厚生労働省によって承認されて、市場で取引されるようになっています。

この治療薬について、「風邪の治療に使える」という宣伝広告がおこなわれていたら、根拠を持って承認されているわけではないので薬事法違反になります。治療や回復、効果がある、改善するなどの言葉は基本的に誇大広告と見なされるリスクがあるため、使用しないのが一般的です。

ただ、薬事法ではどのようなキーワードを使ってはならないかを具体的に定めているわけではありません。「改善」というキーワードは薬事法違反になるから使ってはならないとよく言われていますが、必ずしも厳禁と言えるわけではありません。

ただ、改善したと伝えるからには公的に認められている根拠が必要です。臨床試験のデータに基づいて「30日間の服用によって80%の人が改善する」といった表現をするのは特に問題ありません。「改善」という言葉自体に問題があるわけではないので、必要なときには使用して正しく情報を伝えるのが大切です。

薬事法違反になるリスクが高い「改善」の使い方

「改善」というキーワードを使用すると薬事法違反になりやすいのは確かです。一般的に通用する根拠がない限りは薬事法違反になる可能性が高いからです。

リスクが高い「改善」の使い方を簡単に確認しておきましょう。まず、体質改善、肌質改善、便通改善といった表現は使いたくなる場合が多いですが、根拠がない限りは薬事法違反です。

例えば、「体質改善をしたい方におすすめ」、「肌質改善を目指したい方に」、「便通の悩みを改善できると評判」などといった表現は違反になります。

もちろん、医薬品として承認されている下剤であれば便通を改善できるので「便通の悩みを改善できる」という表現をしても問題にならないでしょう。しかし、一般健康食品で「便通改善」を表記していたら違反です。また、改善という直接的な表現でなくても、同じ意味合いを持つ表現をした場合にも薬事法違反になります。

「体質が良くなる」、「気になる体質が気にならなくなる」、「体質の問題を克服できる」といった表現も根拠がない限りは薬事法違反です。薬事法では具体的な表現を指定して違反かどうかを定めているわけではないため、読み手が「改善」というニュアンスで受け取ると考えられたら違反になる可能性があります。

「改善」は口コミやインタビューでも使用できない

商品の販促ではユーザーの口コミやインタビューを掲載することがあります。実際に使用した人からの口コミは信頼できる情報なので商品の魅力を伝える手段として優れているのは確かです。しかし、その中に「改善」あるいは改善をイメージさせる表現が使われていただけでも薬事法違反になります。

インタビューをしたり、アンケートに答えてもらったりした内容をそのまま紹介したとしても違反になるので注意しましょう。アンケートの回答者やインタビューをした人に相談して表現を変えてもらってから掲載するといった工夫が必要です。

例えば、一般健康食品で「3か月間飲み続けたら胃の痛みが改善しました」という口コミを取り上げて宣伝すると薬事法違反です。

特定の食品について「これを食べたら疲れが取れて元気になりました」というインタビュー結果を紹介したとしても違反になります。ただし、臨床試験を通して一般的な有効性が示されているのであれば問題はありません。例えば、高血圧の人が食べたときに血圧の改善が統計的に優位な形で確認されたというデータがある特定保健用食品であれば「高血圧の悩みが改善しました」という表現の口コミを掲載するのは違反ではありません。

「改善」の言葉のソースには関係がなく、表現として使用したときに情報が正しいかどうかが重要になっています。

薬事法違反にならずに改善したことを伝えるには

薬事法違反にならないようにしながら、改善したことを伝える方法はあるのでしょうか。最も安全な方法は承認や届出を通して「改善」を明記できるようにすることです。サプリメントなどの健康食品の場合には特定保健用食品や機能性表示食品として認められれば「改善」という表記もできるようになります。

ただ、消費者が誤解をしないように表現を適切に選ぶことは必要で、機能性表示食品の場合には表現の文言を決めて申請しなければなりません。「改善」という表現があると指摘を受けてしまうリスクがあるので避けた方が良いでしょう。

改善のイメージを抽象的に伝えるのはグレーゾーン

改善のイメージを何となく伝わるように表現して、グレーゾーンにする方法もあります。例えば、「便秘が改善する」というニュアンスを伝えたいときに、「お通じが良くなる」という表現をしても違反を指摘されるでしょう。

しかし、「すっきりしなくて困っていましたが、これを飲んでからつらくないと思うようになりました」という表現にすればグレーゾーンになります。「お腹の調子がすぐれなかったけれどよくなりました」という表現も違反ですが、「おなかのイライラが気にならなくなりました」というくらいに抽象化すればグレーゾーンです。

このように、改善したことを伝える文言が薬事法違反にならないようにしつつ、表現の工夫をして商品価値を示すことが欠かせません。ただ、抽象的になっていないと見なされたときには違反を指摘されるので、リスクの高い対処方法です。

薬事法違反を避けるには改善のイメージを出さないのが無難

薬事法では誇大広告の規制をしていて、「改善」というキーワードが含まれていると違反になるリスクがあります。改善をイメージさせる表現があるだけで違反になる可能性があるので、前面に出さないようにするのが大切です。

どうしても改善するイメージを伝えたいときには、特定保健用食品などとして認めてもらい、堂々と効果を表示できるようにしましょう。